停滞期・リバウンドの科学/公開日:2026-10-08/更新日:2026-10-08/執筆:應匡(はり師・きゅう師)
結論:停滞期は、努力が足りない証拠ではありません。減量に対して、体が元の状態を守ろうとする「適応」が働くことが、研究で説明されています。止まったときに、食事だけをさらに減らすと、筋肉などの除脂肪体重が減りやすいこともわかっています。
停滞期とは
減量を始めてしばらくは順調に体重が減っても、ある時期から、同じ食事・同じ活動でも、減り方が鈍くなることがあります。これがいわゆる「停滞期」です。多くの方が経験し、「やり方が間違っていたのでは」「自分は続かない人間だ」と、止まった理由を自分の中に探してしまいがちです。
体の中で起きていること:体重を守る「適応」
減量研究のレビューでは、減量すると、エネルギー消費・行動・神経内分泌・自律神経の反応が組み合わさって、減った体重を元に戻そうとすることが説明されています。これを「適応熱産生(adaptive thermogenesis)」などと呼びます。この抵抗の多くは、脂肪細胞から出るホルモンレプチンを介して起こるとされています(Rosenbaum & Leibel, 2010)。
また、減量後には、食欲に関わるホルモンなどの変化が、体重を戻す方向に働くことも報告されています(Greenway, 2015)。食べても満たされにくく感じるのは、性格の問題ではなく、体の仕組みの側の反応です。
止まったとき、食事だけをさらに減らすと
止まったときに「食事をもっと減らす」のは、損をしやすい方法です。体重が減るとき、脂肪だけでなく、筋肉などの除脂肪体重も一緒に減るためです。
20〜74歳の304人(男性183人・女性121人)が、1日約500kcal減らす食事をした研究(Lahav ら, Frontiers in Endocrinology, 2025)では、運動をしなかったグループで、男性は体重が8.5kg減る間に除脂肪体重が約2.8kg、女性は体重が約7.1kg減る間に除脂肪体重が約2.9kg減っていました。一方、筋力トレーニングをしたグループでは、除脂肪体重が増えていました。(自分で運動を選んだ人たちを後から調べた観察研究で、因果関係を確定するものではありません。)
体重計の数字は、脂肪と筋肉の区別を教えてくれません。
体重計以外の変化を見る
停滞している時期は、数字以外の変化にも目を向けてみてください(一般的なセルフチェックの例です)。
- 朝、起きたときの体の重さ
- 階段を上ったときの息の上がり方
- 夕方の脚のむくみ
- 服のウエストまわりの感じ
睡眠も、体重と関わります。心血管代謝リスクが高めで、普段7時間以上眠る成人95人が、6週間、毎晩1.5時間の睡眠制限を行った研究(Zuraikat ら, Annals of Internal Medicine, 2026)では、睡眠は1晩約78分減り、体重が約0.45kg増え、日中に座っている時間が1日約17分増えました。2つのランダム化試験をまとめて分析した結果で、効果の大きさは控えめであり、期間が短いため体組成の変化は十分にはわかっていない、と研究者も述べています。
運動が苦手な方は、いきなり筋トレを始めなくても、日常の動きを少し増やすことから始められます。日常の動き(NEAT)の解説も、あわせてご覧ください。
医療機関に相談したほうがよい場合
停滞期は、ふつう数週間から数か月で動き出すと言われます。半年以上まったく動かない、または体重の変化と一緒に、強い疲労感・めまい・月経の乱れなどがある場合は、ダイエットの調整より先に、医療機関にご相談ください。別の原因が隠れていることがあります。
まとめ
- 停滞期は、減量に対して体が元の状態を守ろうとする「適応」で説明されている。
- レプチンなどのホルモンの変化も関わるとされている。
- 止まったときに食事だけを減らすと、筋肉などの除脂肪体重が減りやすい(304人の観察研究)。
- 睡眠が毎晩約80分減ると、6週間で体重が約0.45kg増え、座る時間が増えた(95人のプール解析)。
- 体重計以外の変化を見て、日常の動きを少しずつ増やす。
参考文献・出典
- Rosenbaum M, Leibel RL. Adaptive thermogenesis in humans. Int J Obes (Lond) 2010;34 Suppl 1:S47-55. doi:10.1038/ijo.2010.184
- Greenway FL. Physiological adaptations to weight loss and factors favouring weight regain. Int J Obes (Lond) 2015;39(8):1188-96. doi:10.1038/ijo.2015.59
- Lahav Y, Yavetz R, Gepner Y. Resistance training as a key strategy for high-quality weight loss in men and women. Front Endocrinol (Lausanne) 2025. doi:10.3389/fendo.2025.1725500
- Zuraikat FM, Scaccia S, Cochran J ほか. Prolonged short sleep and its effect on body weight and composition. Ann Intern Med 2026;179(8):1085-1093. doi:10.7326/ANNALS-25-01660
掲載内容は、公開時点で確認できた研究の紹介です。更新により内容が変わる場合があります。参考論文一覧では、各論文の要点と研究の種類をまとめています。
この記事を書いた人

應匡(うすい おうきょう/臼井智治)
はり師・きゅう師(国家資格)。総合治療院 真氣 院長(長野県松本市)。臨床歴15年程、延べ8万人以上の患者様の治療にあたってきました。医師ではないので診断はしません。論文に書いてあることを、書いてあるとおりに伝えることを大切にしています。
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