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リバウンドしやすいのは意志の弱さ?脂肪細胞の「記憶」に関する研究

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停滞期・リバウンドの科学/公開日:2026-10-08/更新日:2026-10-08/執筆:應匡(はり師・きゅう師)

結論:減量後も、脂肪組織の細胞に、肥満だった頃の変化が残るという研究があります(ヒトとマウス)。リバウンドしやすいのは、意志の弱さだけでなく、「我慢で急いで落とす」という方法の構造にも原因があるかもしれません。

痩せたあとの脂肪組織を、細胞のレベルで調べた研究

2024年11月、スイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)の研究チームが、科学誌Natureに論文を発表しました(Hinte ら)。1つの細胞ごとに遺伝子の働きを調べる方法で、ヒトとマウスの脂肪組織が、かなりの減量のあとでも、細胞の遺伝子発現の変化を保っていたことを示しています。

さらにマウスでは、脂肪細胞に、肥満によって生じた「エピゲノム(遺伝子のスイッチの入り方)」の変化が残り、その変化を持つマウスは、体重のリバウンドが速かったと報告されています。研究者は、これを「肥満の記憶(obesogenic memory)」と呼んでいます。

※エピゲノムの変化まで確かめられたのはマウスです。人で同じことが同じ程度に起こるかは、今後の研究が必要です。

体重の増減の繰り返しは、体に害を与えるのか

2026年7月号のThe Lancet Diabetes & Endocrinologyに、体重の増減を繰り返すこと(ウェイトサイクリング)に害があるかを検討した専門家の論文(Personal View)が出ています(Magkos & Stefan)。ヒトと動物の研究を批判的に検討し、現時点の証拠は、体重の増減の繰り返しそのものが、肥満のある人に臨床的な害を起こすという因果関係を、支持していないと結論しています。報告されている悪影響の多くは、加齢や、意図しない体重減少などによる見かけの関連の可能性がある、としています。

この2つは、矛盾しません。整理すると、「繰り返すこと自体が、体を壊すとは言い切れない。ただし、戻りやすさにつながる変化が体に残る可能性はある」ということです。

減量後は、体重を戻す方向に働く仕組みがある

減量後は、食欲に関わるホルモンなどの変化が、体重を戻す方向に働くことも報告されています(Greenway, 2015)。体が体重を「守ろう」とする、適応です。うまくいかないのは、意志の問題というより、方法の構造の問題かもしれません。

我慢は、いつか必ず終わります。終わった日が、戻り始める日になるなら、方法のほうを見直すほうが近道です。

続けられる形にするための4つの設計

ここからは、研究をふまえた私の考え方(一般的な提案)です。

  • 食べる量を、極端に減らさない。
  • 運動から入らず、日常の動きの量から変える。
  • 睡眠を削らない。
  • 終わりの日を決めない。やめたら戻る方法は、最初から選ばない。

時間をかけて、戻る理由のない形にするほうが、結果的に近道になります。

まとめ

  • 減量後も、ヒトとマウスの脂肪組織に、肥満だった頃の細胞の変化が残るという報告がある(Nature, 2024)。
  • マウスでは、エピゲノムの変化が残り、リバウンドが速かった。
  • 体重の増減の繰り返しそのものが、臨床的な害を起こす証拠は、現時点では支持されていない(Lancet Diabetes Endocrinol, 2026)。
  • だから、我慢で急いで落とす方法は避け、続けられる形にする。

参考文献・出典

  1. Hinte L, Castellano-Castillo D, Ghosh A ほか. Adipose tissue retains an epigenetic memory of obesity after weight loss. Nature 2024(オンライン公開 2024年11月18日). doi:10.1038/s41586-024-08165-7
  2. Magkos F, Stefan N. Is weight cycling clinically harmful? Lancet Diabetes Endocrinol 2026;14(7):594-607. doi:10.1016/s2213-8587(26)00037-9
  3. Greenway FL. Physiological adaptations to weight loss and factors favouring weight regain. Int J Obes (Lond) 2015;39(8):1188-96. doi:10.1038/ijo.2015.59

掲載内容は、公開時点で確認できた研究の紹介です。更新により内容が変わる場合があります。参考論文一覧では、各論文の要点と研究の種類をまとめています。

この記事を書いた人

應匡(臼井智治)

應匡(うすい おうきょう/臼井智治)
はり師・きゅう師(国家資格)。総合治療院 真氣 院長(長野県松本市)。臨床歴15年程、延べ8万人以上の患者様の治療にあたってきました。医師ではないので診断はしません。論文に書いてあることを、書いてあるとおりに伝えることを大切にしています。

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